3×3の9マスには、思考のエネルギーが特に集中する「パワースポット」が存在します。
具体的には、まん中のマス、そしてその上下左右に位置する計5つの場所です。「なぜ、ただの四角い枠にそんな力が宿るのか」と不思議に思われるかもしれません。しかし、その理由は、この形の原型であるマンダラの構造を紐解くと、驚くほど明快に見えてきます。
マンダラという高度な情報システムにおいて、中心には宇宙の根本である大日如来が座し、その東西南北を四体の如来が守護しています。1200年も前から、この「十字の形」こそが、世界を支える最も重要な構造だと考えられてきたのです。
金剛界マンダラにおける五智如来(ごちにょらい)の配置は、以下の通りです。
【まん中】 大日如来(だいにちにょらい)
【まん中下(東)】阿閦如来(あしゅくにょらい)
【まん中左(南)】宝生如来(ほうしょうにょらい)
【まん中上(西)】阿弥陀如来(あみだにょらい)
【まん中右(北)】不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)
わたしは、この重要な如来たちが座す5つの場所を「パワースポット」と呼んでいます。大切なキーワードや、思考の核となるアイデア、迷ったときや、絶対に外せないアイデアがあるときは、ぜひこのパワースポットを意識して書き込んでみてください。
【図 パワースポットの図】
9マスでひらめきを待つ
アイデアが欲しいとき。何らかの気づきや、現状を打破する突破口が欲しいとき。まずは9マスを用意し、頭の中にあるモヤモヤとしたものをすべて書き出してみてください。
今、気になっていることを、1つのマスに1つずつ埋めていく。そしてすべてを書き終えたら、あえて何もせず、ただ全体をぼんやりと眺めてみるのです。
すぐに答えを出そうと焦る必要はありません。9マス全体を、静かに見つめる。ただそれだけで十分です。
マンダラとは、深遠な教え(文字)を図像として表したツールです。情報が文字から「図」へと置き換わることで、わたしたちの脳の働き方も劇的に変化します。
バラバラだった言葉を9マスの構造、つまりマンダラの形式に配置し直すと、全体を一度に俯瞰できるようになります。すると、個別のマス同士が響き合い、思わぬ「関係性」が視覚的に浮かび上がってきます。そこから生まれる新しいアイデアや気づきは、決して偶然の産物ではありません。マンダラの持つ独自の構造が、あなたの思考を深奥へと動かしているのです。
書き順は、どのような方法でもかまいません。「の」の字の順序を守っても、あるいは思いつくまま自由に埋めてもよいのです。
最も大切なのは、自らの頭で考えるという行為そのものです。9マスには、確固たる「中心」があります。中心から外側へと広がり、また中心へと立ち返る。その螺旋のような思考の往復の中で、あなたの考えは成熟し、本質へと近づいていくのです。
【図 ひらめきを待つ図】
9マスは自由な道具
9マスを使いこなせるようになってくると、書く順番は自然とあなたらしいスタイルへと進化していきます。
最初は「の」の字の順序を守ったり、パワースポットを意識したりするのも良いでしょう。けれど、やがて自分にとって最も心地よく、思考がスムーズに流れるやり方が見つかるはずです。
あえて1つのマスを空けたままにしておき、そこにひらめきが降りてくるのをじっと待つ――そんな使い方も素晴らしいものです。
9マスの書き順に、縛られるべき特別なルールなどありません。あるのは、ただ一つ、「自分の頭で考える」という姿勢だけです。
9マスは、揺るぎない「型(フォーマット)」でありながら、どこまでも「自由な道具(ツール)」です。使い続けるうちに、あなただけの書き方が、あなただけのマンダラとして完成されていくでしょう。
考えることは、本来、自由で楽しいことです。その原点だけは、どうか忘れないでください。
始めれば書ける
「書く」という行為において、最も困難なのは「最初の一歩を踏み出すこと」です。
真っさらな白紙を前にして、何か重要なことを書こうと気負えば気負うほど、ペン先は動かなくなってしまいます。
そこで、9マスの出番です。
あらかじめ引かれた正方形の枠線が、書くための「きっかけ」をあなたに与えてくれます。埋めるべき場所が決まっているからこそ、わたしたちは迷いなく最初の一文字を置くことができるのです。 さあ、まずは深く考えすぎず、9マスの中心に何か一つ、言葉を書き込んでみてください。あなたの新しい思考の旅は、そこから始まります。
