[飯箸泰宏先生の、M9notesと知能のいい話] 第1話:M9notesに触れると創造力が沸いてくる

飯箸 泰宏(いいはし やすひろ)

一般社団法人協創型情報空間研究所
事務局長 飯箸泰宏

畏友中島正雄氏(株式会社コンピュータリブ社長)が中心となって創り上げたM9notesは、たいへんユニークで興味深いものです。

ノートを広げると左側のページには大きな9つのマス目が書いてあり、右のページは理科の実験ノートのようなマス目で埋められています。手帳サイズ、A5サイズ、A4サイズと3つのサイズがありマス目などの基本的な構成は変わりません。

図1.手帳サイズの見開き
図1.手帳サイズの見開き

左ページにある9つのマス目はいずれも正方形なので縦にして使っても横にして使っても全く同じように使うことができます。右側の実験ノートのようなマス目のページは、図形やグラフを手書きするにもメモの文字列を書くにも便利です。

図2.中島正雄氏が書いたM9ノート左ページ
図2.中島正雄氏が書いたM9ノート左ページ

まず、主題が明白な場合は、9つのマス目の中央に主題を書いて、その周囲に関連事項を書いていくことができます。主題を巡る主要な概念が上下左右に対等に位置するので、周辺概念ならば周囲8つのどのマス目に書いてもその周辺概念が偏りなく対等に主題に関係づけられます。

2、3のマス目を埋めて眺めていると空白のマス目に何か書きたくなって書きつけてみるとそれまでは思ってもいなかった新しい何かが生まれてきます。

そればかりではありません。マス目とマス目の間にも何か書きたくなってくる。そんなときは、新しいページを開いて、前ページに湧き上がってきた概念を再度整理して書いてみるといいでしょう。それもまたじっと眺めているとそれまで気づかなかった関連事項が脳裏に浮かんでくるという具合になっていきます。

また、逆に、主題が明白でない場合は、最初、もやもやした周辺事項を周囲の8つのマス目に書いていき、いくつかのマス目が埋まったらど真ん中に来るのは何かが見えてくることがあります。

実は、前者のように中心から書き始めるやり方はトップダウン(演繹的思考)で、後者のように周りから攻める方法はボトムアップ(帰納的思考)になっているのです。トップダウンでもボトムアップでもどちら向きにでも使えるのがM9notesの便利な点なのです。

一般社団法人協創型情報空間研究所事務局長

飯箸 泰宏

いいはし やすひろ

1946年(昭和21)生まれ 。現役のシステム系講師。都立足立高校でビートたけしと同級。東京大学理学部化学科卒。同情報科学科研究生修了。1981年に株式会社サイエンスハウスを起業し、同時に教壇にも立つようになった。以来会社経営では37年、慶応大学、法政大学、明治大学等のシステム系教員としては38年の経歴を持つ。教え子は8000人を超える。精神障がい者の支援ボランティアにも従事してきた。専門は情報科学で、人工知能、移動体制御などでの実績がある。最近は、脳科学、心理学、哲学を束ねる「知能学」の創出を悲願にしている。

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