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[Embrace your uniqueness~ファッションブランドmäisaの服のこと~] 第1話:自分の中の旅

考えや感情を手帳に書き留めることから、自分と向き合う旅が始まるかもしれない。

20歳の頃から、経験したことや出会った人を通して感じたことや得た知見を手帳に書き留めてきました。たまに見返す”過去のワタシ”は時に拙く浅はか者で、時に大胆で勇気がある冒険者で、時に悩む者でした。その当時持っていた価値観を今でも握りしめているものもあるし、いつの間にか無くなってしまったものもあります。

自分と向き合うとは、どういうことなのか。ありのままの自分を受け入れるとはどういうことなのか。そういったことをいつも考えてきました。

その答えは、手帳に記されていた”過去のワタシ”と今の私との対話にあったと思います。丁寧に書かれた文字、殴り書きをした文字、感情に任せて書いた文字で埋め尽くされている自分だけに向けて書かれた本は、私自身と向き合う為の最高の教科書でした。

自分の中を旅をして、その中で見つけた価値観を大切にして行動する。自分という人間と向き合い、自分が好きな自分を創造し続けられるように。それが、自分という個をあたためていくことだと気づくことができました。

私は自分と向き合う過程を通して、生涯したい仕事とは何かを考えたとき洋服を作ることに辿り着きました。袖を通してくださる方のことを考えながら製作することは、何よりも楽しい時間です。

どんなものにも美と真実がある。
思慮がうんと深くなれば、あらゆるものに、どんな些細なものにさえも美と真実を発見できるようになる。多くの人が見過ごしているありふれた事柄にも、真実と永遠の姿を見る目を持つようになるのだ。たとえば、雨の雫。蝶の羽。蜘蛛の巣。流れる雲。そこかしこにある全ての自然に。

ー ヘッセ ー

ブランドコンセプトはEmbrace your uniqueness。個性をあたためるという意味です。

日常の中に溶け込んでいて見過ごしてしまいそうなことから、美しさを発見することが好きです。例えば、同じものがあったとしても、それぞれが環境によってカタチは自ずと変化し、そこで繰り広げられる物語は全て異なります。その違いから、ユニークが生まれます。

私はこうして出会った日常からインスピレーションを得てデザインをしています。皆それぞれの人生の物語があり、誰一人として全く同じ経験や思いを抱えている人はいません。それこそがユニークであること、そこに焦点をあててみるというメッセージを込めています。一見何もなさそうな道でも、よく観察してみると面白いものや綺麗なものにありふれているように、自分の中にも綺麗なもの、素敵なもの、面白いものがありふれています。そこを自分の中の旅を通して見つけ、大切にしていくことが、日々を豊かに生きれる一つの方法なのだと思うからです。

手帳に書き留め何度も見返すことで、自分が大切にしている価値観や、本当にやりたいことに気づくことができ、また新たな発見があるかもしれません。

佐野舞華

mäisa代表

佐野 舞華

さの まいか

2021年に東京でファッションブランドmäisaを立ち上げる。mäisaのブランドコンセプトは「Embracce your uniqueness」。ありのままの自分と向き合い、自分の個性をあたためて生きて行くという思いが込められている。自分を大切にしながら前向きに生きる女性に寄り添ったブランド作りをしている。

[ 公式サイト ]
https://maisa.official.ec/

[Embrace your uniqueness]シリーズ

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[手帳M365のワクワクする話] 第3話:プライド

手帳『M365』2023年版 ロゴ箔押し

2020年9月9日、製造原価も考えず、販売価格も、売先も、売り方も決まっていない、自分が使いたい、欲しい、”こだわり”の詰まった手帳『M365』が完成しました。モックアップを持ち込んでから、ほぼ一年かかりました。表紙の質感、ロゴの箔押し、見たことのないページング、それは納得のいく素晴らしい手帳でした。製品というより作品でした。自分が良いと思う手帳は、売れる手帳とは違いました。このようなプロジェクトの進め方は、机の上でさんざん学んだはずなのに、自分のこととなると違いました。

手帳『M365』2023年版 ロゴ箔押し

結局初年度は、友人知人のみなさんが買ってはくれたものの、作った手帳の3分2、7ケースが売れ残りました。手帳は日付が入っているので、売れ残ると廃棄するしかありません。わたしは、その手帳をなかなか廃棄することができませんでした。現状を受け入れることができなかったのだと思います。

2年経ってやっと、売れ残った手帳を誰も見られないように車に積んで、処分場まで行き、台車に積んで廃棄口まで持っていくことができました。そのときの気持ちは今でも忘れません。もったいないことをしてしまった申し訳ない気持ちと、売り切ることができなかった情けない気持ち、大切なモノやコトを捨てているような悲しい気持ちになり、二度とこんなことはしないと心に誓いました。

中島正雄

[手帳M365のワクワクする話]シリーズ

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スティーブ・ジョブズ

10月5日、今日はあのスティーブ・ジョブズ氏の命日です。どうして、この日を覚えているのか、わたしは、ジョブズ氏のセンスが好きだったからだと思います。それは、ジョブズ氏がコンピュータやスマホやiPadを作ったこともありますが、ジョブズ氏が”仏教”を好きだったことにあるのかもしれません。

ジョブズ氏のアップル社の製品を買うと、アップルの”りんごのロゴ”のシールが1枚ついています。このセンスが好きです。わたしのこの文章は、ジョブズ氏が最後に作った”iPad”で、アップル純正のキーボードを使って書いています。キータッチが実に見事です。わたしは、iPadを見たとき、コンピュータ歴史博物館で見た、アラン・ケイ氏が作った『ダイナブック』(ダイナミックメディア機能を備えた「本(ブック)」のようなデバイス)の厚紙で作られたモックアップだと直ぐにわかりました。流石、スティーブ・ジョブズ、ついに作ったんだ。

今、わたしがジョブズ氏のことで最も興味があるのは、「ジョブズ氏と仏教」のことです。このことについては、柳田由紀子さんの『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』の素晴らしい本があります。ジョブズ氏が亡くなって10年以上たった今も『芸術新潮2022年10月号』で「風狂、スティーブ・ジョブズが愛した日本」というタイトルでジョブズ氏のことが取り上げられています。

ジョブズ氏と仏教の関係は、ビートルズのジョージ・ハリスンにあると思います。ということで、映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』を観に行くスケジュールを『M365』にしているところであります。

どうしてわたしがスティーブ・ジョブズ氏を好きなのか、もう一つの理由は、誕生日が同じだからです。2月24日です。ジョブズさんは、わたしのちょうど10ケ上です。

中島正雄

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ナイスガイ

昨晩、昭和の記録が塗り替えられました。日本のプロ野球のシーズンの最多ホームランです。これまでの記録保持者は、もちろん巨人の王貞治選手です。世界のオー。その記録を塗り替えたのは、22歳のヤクルト・村上宗隆選手、56号HR、史上最年少で三冠王です。素晴らしいです。”あっぱれ”です。

わたしは巨人のV9の目撃者です。あのころの巨人のラインナップはソラでも言えます。1番センター柴田、2番セカンド土井、3番サード長嶋、4番ファースト王、高田の背番号は8。左の代打の切り札は柳田。ピッチャーは背番号21の高橋一三、18の堀内、左の新浦、倉田に関本四十四。今の選手たちと比べると、みんなちょっとクセが強かったと思う。

最近、記録を更新する選手を見てみると、野球の村上宗隆選手、大谷翔平選手、スケートの羽生結弦選手、将棋の藤井聡太竜王、みんな、インタビューの受け答えも上手、立ち振る舞いもスマートでナイスガイです。そして、みな20代。

ナイスガイたちの、その他の共通点を探してみる。わたしが最初に浮かんだのは指導者の存在です。村上選手は高津監督。大谷選手の二刀流があるのも当時日本ハムの監督だった栗山監督。羽生選手も10年間コーチを変えなかった。藤井竜王を育てたのは杉本昌隆八段。そして、指導者はみんな50代。

ナイスガイたちは、いい指導者との縁を見逃さなかった。指導者の言葉を信じて、自分を素直に信じることができたのではないだろうか。このことを裏付けるのは、今リーズン残り2試合、13試合ホームランがなかった村上選手を高津監督は試合に出さなかった。そして、今シーズン最後の試合、しかも村上選手は最終打席でホームランを打った。高津監督の長い孤独な闘いを考えると、わたしも胸が痛くなる。その闘いから解放されたように、ベンチから出てきて村上選手を迎える高津監督のガッツポーズもよかった。高津監督にも”あっぱれ”です。

中島正雄

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プライド

2020年9月9日、製造原価も考えず、販売価格も、売先も、売り方も決まっていない、自分が使いたい、欲しい、”こだわり”の詰まった手帳『M365』が完成しました。モックアップを持ち込んでから、ほぼ一年かかりました。表紙の質感、ロゴの箔押し、見たことのないページング、それは納得のいく素晴らしい手帳でした。製品というより作品でした。自分が良いと思う手帳は、売れる手帳とは違いました。このようなプロジェクトの進め方は、机の上でさんざん学んだはずなのに、自分のこととなると違いました。

結局初年度は、友人知人のみなさんが買ってはくれたものの、作った手帳の3分2、7ケースが売れ残りました。手帳は日付が入っているので、売れ残ると廃棄するしかありません。わたしは、その手帳をなかなか廃棄することができませんでした。現状を受け入れることができなかったのだと思います。

2年経ってやっと、売れ残った手帳を誰も見られないように車に積んで、処分場まで行き、台車に積んで廃棄口まで持っていくことができました。そのときの気持ちは今でも忘れません。もったいないことをしてしまった申し訳ない気持ちと、売り切ることができなかった情けない気持ち、大切なモノやコトを捨てているような悲しい気持ちになり、二度とこんなことはしないと心に誓いました。

『M365』は面白い手帳だと思います。同じような他の手帳はありません。大きさだって大きい、価格も高いです。手帳を使い続けてくれるお客さまと、プロジェクトの仲間のおかげで、手帳を作り続けることがきています。わたしは『M365』を作ることに誇りを持っています。

中島正雄

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コブラツイスト

日本のオヤジに威厳があったころ、家でオヤジが座る場所は床の間の前、つまり、その部屋で一番いい場所でした。やがで、テレビが一家に一台の時代が来て、テレビがその部屋の一番いい場所に置かれるようになると、オヤジの威厳はだんだん失われていったような気がします。そんなオヤジの座を奪ったテレビも、一部屋に一台になり、今はYouTubeとかで、居場所を持て余しています。

テレビが全盛期だったころ、オヤジが家にいる週末のテレビ番組の主導権は、それでもオヤジにありました。オヤジが観るテレビといえば、NHK、笑点、大河ドラマ、野球、プロレスでした。オヤジは、セブンスターを吸いながら、サントリー角を呑み、上機嫌でよくプロレスを観ていました。

そのころの金曜の夜のプロレスのヒーローは、ストロング小林、坂口征二、そして、アントニア猪木。悪役は、サーベルを持った、タイガー・ジェット・シンでした。必ず場外乱闘があって、誰かが額から流血しました。

猪木の決め技は、延髄蹴り、ブレーンバスター、コブラツイストと卍固めでした。そのころ、わたしは小学生で、プロレス中継の翌日は必ず、教室の後ろでプロレスごっこがありました。猪木のコブラツイストをやるわけです。アントニオ猪木は僕たちのヒーロー。アントンリブにスペアリブを食べに行ったこともあります。タバスコを広めたのも猪木さんだ。実は一度だけ、レストランでスーツに赤いマフラーの猪木さんを見かけたことがありました。とても声などかけらないオーラでした。子どものころのヒーローは、大人になってもヒーローです。

アントニオ猪木さんが亡くなったことをニュースで知りました。大ショックでした。われらのヒーロー猪木さんも病には勝てませんでした。猪木さんが亡くなって、昭和の火がまた一つ消えたように思いました。でも、わたしの中の猪木さんの闘魂は消えない。

中島正雄

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M9の”M”

今年も、アッっという間に10月になってしまいました。月の初め、1日が土曜日という月は、ちょっと休憩をもらったような感じがします。

月末だった金曜日は、近所に居る松本洋紙店の松本友社長とYouTubeライブで対談でした。松本さんとの対談は、かれこれ53回になるので、もう一年以上続いていて、金曜日のルーティンになっています。放送開始は13時。だいたい30分前くらいに松本さんが来て、テーマの打ち合わせをします。

松本さんもいろんな方面で勉強熱心な方なので、話題に困ることはないのですが、話している内容はほとんど雑談で、二人の話を視聴してくる人などいるのだろうかと、開き直ってやっていところもあります。それでも、面識のない方が視聴してくれていて、たまに、感想や提案などをメールやハガキをいただくと、折れかけた心がポジティブになります。ライブの時間は30分と決めているのだけれど、話しだすと30分はアッっという間です。

前回のライブは、ノートのネーミングとロゴの話になりました。松本さんもノートを作りたいと思っていて、紙はプロだけれど、ノートの表紙のロゴがなかなか決まらないらしい。わたしは、経験者なので、松本さんのその気持ちがよくわかります。わたしの場合、「M9」のネーミングは自分の中で長年あたためていましたので、直ぐに決まりました。

もちろんマンダラの”M”には違いないのですが、わたしがマンダラを語るのもおこがましいと思っています。実は、当時、仕事をしていた相棒と「3×3の9マスは、あるときは夢を叶えたり、目標を達成できたり、問題を解決したり、ToDoリストや一日の振り返り、色んなことに使え、9マスに書くと自分は何をすればいいか、次の一歩がわかる”魔法の9マス”だよね」と話していました。「M9」の”M”はマジック、魔法の”M”からつけました。

M9notesは出雲の工場で作られたました。今月は、全国の神様が出雲に集まるようです。

中島正雄

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日本一の手帳メーカー

日本一の手帳メーカーが島根県の出雲にあります。出雲といえば、旧暦の10月、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まるところです。このとき、出雲以外の土地の神様はいなくなるので神無月といい、出雲だけは神様が集まるので神在月になります。今回、わたしたちが出雲を訪れたのは神在月でした。

「手帳」は、わたしたちが作ろうとしてるスケジュール帳ばかりでなく、身の回りに意外とたくさんあります。生徒手帳、母子手帳、会社の手帳、銀行の通帳、などなど、パスポートも手帳の仲間、最近では神社仏閣のご朱印帳も手帳です。わたしたちが『M365』のモックアップを持ち込んだのは、様々な種類の手帳を作っている手帳メーカーでした。新参者のわたしたちが、一発目から随分大それたことをしたものです。これも、以前、ホームページ作成の仕事で営業マンの方と一緒なった縁があったからです。わたしは、その営業マンの方と気が合って「いつかまた一緒に仕事をしたいね」と話していました。今回、わたしたちがノートと手帳を作ることになり、M9notesとM365が、この縁を再びつないでくれました。

いよいよ、日本一の手帳メーカーの社長と工場長との面談です。わたしは、意気揚々に、どうだ〜と言わんばかりに『M365』のモックアップを取り出して広げました。工場長は「こんな手帳を見たことがありません」。「1ケ、2ケなら手作りで作れますが、これを何百、何千個とラインで作るには少し考えさせてください」。と宿題になりました。この工場で作ることができなければ、どこに持ち込んでも作ることができないだろうと思いました。

一緒に行ったシーピーシー社・小塚社長と「手帳を作ってくれるだろうか」と、わたしたちが手帳を作っって販売することは、所詮無理だったのではないかと思いながら出雲を後にしました。

10月はすでに来年の手帳商戦が始まっています。わたしたちがお願いしているのは再来年の手帳です。新しい年になっても、工場長から宿題の回答は来ませんでした。その度に小塚さんと「やっぱりダメかな」と「もうちょっと待とう」と話しながら、折れそうな心を整えました。春になっても回答は来ません。もう来年の手帳を作る時期でした。

2020年6月11日、朝メールを開けると営業マンの方から「スケジュールの試作完成しました。お待たせして申し訳ございませんでした。お時間を頂ければ、お伺いさせて頂きますので、宜しくお願い申し上げます。来週はご都合いかがですか?」

おっ、工場長、ついにやりました。7ヶ月です。直ぐに小塚さんに「回答来ました。2021年の手帳を作りたい!」と連絡しました。

6月です。手帳の製造は、来年の手帳商戦、つまり今年の神在月に間に合うのだろうか。そういえば、いったい原価はいくらなのだろうか。まだまだ、ドキドキとワクワクが続きます。

中島正雄

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[手帳M365のワクワクする話] 第2話:こだわりは、正方形

手帳『M365』2023年版 フォントを変えました

手帳『M365』は正方形にこだわっています。

どうして”正方形”なのか。それは仏教の”マンダラ”がルーツです。マンダラは、今から1200年前、遣唐使だった空海さんが、今の中国から日本に持ち帰った二つのマンダラが対になっている”両部マンダラ”の、向かって左にある、正方形9マスにデザインに「金剛界マンダラ」のことです。

M9notesの「M」は、「マンダラ(曼荼羅)」と「Magic」に由来。

わたしの解釈で、仏教は、2400年前、インドで、お釈迦さまが「生きることは苦しいことだ」ということを発見してはじまりました。お釈迦さまは、その苦しみから解放される方法を見つけました。お釈迦さまの教えは、初めは言葉で伝えられましたが、それが中国に広まると、文字になりました。お経です。仏教の深い教えを文字で伝えるのは難しいと考え、図解で解りやすく作られたのがマンダラです。

わたしは、正方形という図形に秘密、意味があるのではないかと思いました。正方形は、上下左右どこから見ても対称の美しい図形です。正方形は非常に安定した図形です。だから余計なことを考えずに、無心に図形を見ることができます。きちんと整った綺麗なマスが目の前にあるので、自分の頭の中を整理しやすくします。今を生きるわたしたちも、このマンダラのデザインを応用すれば、自分のいい未来を考えることができるではないかと思いました。

手帳自体の形が正方形の手帳もありますが、形自体を正方形にしようとは考えませんでした。重要なのはマンダラのように正方形のマトリックスです。既成の長方形の用紙に正方形のデザインを配置すると、どうしても天地の余白は詰まり、左右の余白が大きく空いてしまいます。用紙の縦横を入れ替えると逆です。手帳は、毎日見る道具です。しかも、手帳を見て、これから訪れる自分の未来を考えます。そのデザインは、”美しく”ありたい。デザインでわくわくして見たくなる、デザインで手帳を使うのが楽しくしたい、と試行錯誤しました。

手帳『M365』2023年版 フォントを変えました

1週間は7日で、1ヶ月はだいたい5週間、多くても6週間です。これは変えられません。月間ブロックカレンダーをデザインするとき、縦は7列、横は6行のマトリックスでは正方形にはなりません。縦7列は、どうしても変えることはできませんので、正方形のマトリックスを作るには、縦7列×横7行。この7×7のマトリックを長方形の紙の上にどう美しくデザインするのか、新しい試行錯誤がはじまりました。

中島正雄

[手帳M365のワクワクする話]シリーズ

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互い違いに短いぺージを挟むデザイン

わたしは、手帳を開くと年間カレンダーがあり、次に月間ブロックカレンダーがあり、そして、週間か日間カレンダーがあるページ構成に納得がしていませんでした。それは、月間ブロックを見ながら、一日の詳細に書き込むという使い方が多かったせいもあります。どうして月間ブロックと一日の詳細カレンダーが、一目で見る手帳がないのだろうかと思っていました。もし、わたしが手帳を作るとしたら、月間ブロックと一日の詳細カレンダーが一目で見ることができるようにしたいと考えていました。その方が絶対いいスケジュールをすることができます。いいスケジュールというのは、自分のいい未来を創ることです。手帳の役割は大きいと思います。

長方形の手帳を横置きに見開きにして、下にくるページを見開きで正方形になるように切ってしまうことを考えました。こんな手帳は見たこともありません。わたしたちが考えたのは、上側のページに月間ブロックカレンダー、下側のページは一日の詳細カレンダーでした。これで、見開きで、月間ブロックと一日の詳細カレンダーが一目で見ることが実現しました。互い違いに短いぺージを挟むデザインです。まん中の短いページを、ペラっとめくると月間ブロックと一日詳細が直ぐに切り替わります。これはすごくいい。手帳の前のページにいったり後ろにいったりのストレスがない。いいスケジューリングができる。正方形にこだわったから出来たことでした。

ただ、今まで見たことのないページの手帳、果たして作ることができるのだろうか。いったい製作費はいくらかかるだろうか。いくらで売ることができるのか。採算は取れるのか。わたしたちは、このとき、こういうことを全く考えていませんでした。

わたしたちは、ついに完成したモックアップを、出雲にある日本一の手帳メーカーに持ち込むことにしました。ここで作れなかったら、どこも作れない。この変わった手帳を作ることができるでしょうか。

ちなみに『M365』をグッドデザイン賞2021にエントリーしました。「俯瞰的な視点でのスケジュールの把握に優れた一覧性の高い7曜日×4週のカレンダー欄と1日毎の細かなメモ欄。本来なら同居させにくい2種類の月間表示を本文の長さに段差をつくる製本によって、一見開きに綴じた手帳。俯瞰する視点と細部を把握する視点の両方が同時にストレスなく見られるアイデアを評価した。」とコメントいただき、グッドデザイン賞を受賞することができました。

中島正雄