一番難しいのは「待つ」こと

正方形の3×3の9マスは”考える技術”の一つです。9マスを使うと、正方形の美しい図形に自然と頭が反応します。そして、空いているマスに何か埋めたくなります。9マスノートはこの9マスの力を、考える力に応用しています。

9マスの使い方はとても簡単です。紙とペンさえあれば、誰でもで直ぐにできます。まずはじめに、まん中マスに”テーマ”を書きます。テーマとは、目標や夢、解決したい問題、今日の日付など、考えることの”タイトル”です。

まん中のマスに書いたら、9マス全体を眺めます。ここまで、とても簡単ですね。そして、頭の中に浮かんできたことを、言葉にして、文字にして、1マス1フレーズで書きます。9マスで考える技術はこれだけです。9マス全体をジーッと眺めて頭に浮かんで来たことを1マス1フレーズで言語化して書き出します。書いたらまた全体をジーッと眺めて浮かんで来たことを書き出します。全部のマスが埋まるまでこれを繰り返します。9マスは、こうしてまん中に書いたテーマを考えて行きます。

フレーズは、一つ、二つは直ぐに浮かんで来そうですが、三つ、四つとなると直ぐとは行かないかもしれません。まわりのマスは8ケあります。この流れで一番難しいのは「待つ」ことです。頭の中に浮かんで来るのを待つことです。

世の中はスマホの時代になり、なんでも直ぐに手に入れないと気が済まない人が増えています。手元で直ぐに検索して答えを探します。考えるのではなく、探すのです。人間はスマホで便利を手に入れて、自分の頭で考えることをしなくなりました。しかも、もっと速く、もっと良いものと、その欲はどんどんエスカレートして行きます。

9マスはこれとは正反対です。自分の頭を使って考えます。自分の頭に浮かんで来るのを待たなければなりません。いいアイデアはいつ浮かぶのかわかりません。それでも自分を信じて待つのです。人間はスマホを使うようになって、考えることよりも、待つことの方が難しくなっています。

人間は考える葦です。自分の頭を使って考えることが出来るのは人間だけです。そこで提案があります。9マスノートを使って考えてみてください。紙とペンさえあれば誰でも直ぐに出来ます。そして、ぜひ待つことを楽しんでください。自分の頭で考えることは、人生をますます豊にすることができるでしょう。(中島正雄)