日本一の手帳メーカー

日本一の手帳メーカーが島根県の出雲にあります。出雲といえば、旧暦の10月、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まるところです。このとき、出雲以外の土地の神様はいなくなるので神無月といい、出雲だけは神様が集まるので神在月になります。今回、わたしたちが出雲を訪れたのは神在月でした。

「手帳」は、わたしたちが作ろうとしてるスケジュール帳ばかりでなく、身の回りに意外とたくさんあります。生徒手帳、母子手帳、会社の手帳、銀行の通帳、などなど、パスポートも手帳の仲間、最近では神社仏閣のご朱印帳も手帳です。わたしたちが『M365』のモックアップを持ち込んだのは、様々な種類の手帳を作っている手帳メーカーでした。新参者のわたしたちが、一発目から随分大それたことをしたものです。これも、以前、ホームページ作成の仕事で営業マンの方と一緒なった縁があったからです。わたしは、その営業マンの方と気が合って「いつかまた一緒に仕事をしたいね」と話していました。今回、わたしたちがノートと手帳を作ることになり、M9notesとM365が、この縁を再びつないでくれました。

いよいよ、日本一の手帳メーカーの社長と工場長との面談です。わたしは、意気揚々に、どうだ〜と言わんばかりに『M365』のモックアップを取り出して広げました。工場長は「こんな手帳を見たことがありません」。「1ケ、2ケなら手作りで作れますが、これを何百、何千個とラインで作るには少し考えさせてください」。と宿題になりました。この工場で作ることができなければ、どこに持ち込んでも作ることができないだろうと思いました。

一緒に行ったシーピーシー社・小塚社長と「手帳を作ってくれるだろうか」と、わたしたちが手帳を作っって販売することは、所詮無理だったのではないかと思いながら出雲を後にしました。

10月はすでに来年の手帳商戦が始まっています。わたしたちがお願いしているのは再来年の手帳です。新しい年になっても、工場長から宿題の回答は来ませんでした。その度に小塚さんと「やっぱりダメかな」と「もうちょっと待とう」と話しながら、折れそうな心を整えました。春になっても回答は来ません。もう来年の手帳を作る時期でした。

2020年6月11日、朝メールを開けると営業マンの方から「スケジュールの試作完成しました。お待たせして申し訳ございませんでした。お時間を頂ければ、お伺いさせて頂きますので、宜しくお願い申し上げます。来週はご都合いかがですか?」

おっ、工場長、ついにやりました。7ヶ月です。直ぐに小塚さんに「回答来ました。2021年の手帳を作りたい!」と連絡しました。

6月です。手帳の製造は、来年の手帳商戦、つまり今年の神在月に間に合うのだろうか。そういえば、いったい原価はいくらなのだろうか。まだまだ、ドキドキとワクワクが続きます。

中島正雄