仏様とご縁を結ぶ儀式

結縁灌頂(けちえんかんじょう)とは、マンダラの世界に入り仏様とご縁を結んでいただく真言密教における最も尊い儀式です。その儀式が、高輪にある高野山東京別院でありました。今回はそのレポートです。(通常であればどなたでも参加できます)

わたしは第3班、14時40分集合です。待合室にわたしを含め16人います。みな袈裟を掛けて案内を待っています。本堂の入り口で荷物は全て預けます。両手で印を結ぶためです。僧侶の丁寧な案内で小さな部屋に入ります。部屋の明かりを消して、真言「南無大師遍照金剛」と唱えながら大阿闍梨様の入場を待ちます。

大阿闍梨様が来ると、三昧耶戒(さんまやかい)を授かる儀式がはじまります。三昧耶戒で、結縁灌頂に必要な真言と印を授かります。真言は「オンサンマヤサトバン」。印は胸の前で右手が手前に来るように手を組みます。そして、両方の中指を突き出すように立てます。後でここに花を挟みます。わたしは、どうにか阿闍梨様のお顔を拝見したいと思いましたが、部屋が暗いのとマスクもされているのでわかりませんでした。高野山のときもそうでした。この部屋での儀式は15分くらいだったと思います。

僧侶の案内で、本堂を歩きながら次の場所に行きます。高野山もそうですが、東京別院もお寺のようでお寺でないといいましょうか、置物や壁の絵、灯り一つ一つセンスがいいというか、オシャレというか、居心地のいい感じがします。

いよいよ結縁灌頂の儀式です。黒い幕の前で待ちます。待っている間に用意してある専用の紙(覆面)で目隠しをされます。手は三昧耶戒の印を組みます。そして、真言「オンサンマヤサトバン」を唱えます。目隠しで前は見えません。ひたすら真言を唱えます。僧侶が「花を挟みます」と言って、突き出している中指に花を挟みました。目隠しで花は見えません。

10分くらい唱えでしょうか、目隠しして同じ言葉を唱えていると、もうどうでもよくなって来ます。頭には”早く順番が来ないか”以外に何も浮かびません。前触れもなく、僧侶に突き出している中指を持たれ誘導されます。ドッキとします。ちょっと周りが静かなところに誘導され「はい、ここで花を放します」と僧侶がいいました。わたしは言われるがまま中指の力を抜いて放しました。「はい、では目隠しを取ります」。すると目の前には金剛界マンダラがありました。(つづく)

中島正雄