互い違いに短いぺージを挟むデザイン

わたしは、手帳を開くと年間カレンダーがあり、次に月間ブロックカレンダーがあり、そして、週間か日間カレンダーがあるページ構成に納得がしていませんでした。それは、月間ブロックを見ながら、一日の詳細に書き込むという使い方が多かったせいもあります。どうして月間ブロックと一日の詳細カレンダーが、一目で見る手帳がないのだろうかと思っていました。もし、わたしが手帳を作るとしたら、月間ブロックと一日の詳細カレンダーが一目で見ることができるようにしたいと考えていました。その方が絶対いいスケジュールをすることができます。いいスケジュールというのは、自分のいい未来を創ることです。手帳の役割は大きいと思います。

長方形の手帳を横置きに見開きにして、下にくるページを見開きで正方形になるように切ってしまうことを考えました。こんな手帳は見たこともありません。わたしたちが考えたのは、上側のページに月間ブロックカレンダー、下側のページは一日の詳細カレンダーでした。これで、見開きで、月間ブロックと一日の詳細カレンダーが一目で見ることが実現しました。互い違いに短いぺージを挟むデザインです。まん中の短いページを、ペラっとめくると月間ブロックと一日詳細が直ぐに切り替わります。これはすごくいい。手帳の前のページにいったり後ろにいったりのストレスがない。いいスケジューリングができる。正方形にこだわったから出来たことでした。

ただ、今まで見たことのないページの手帳、果たして作ることができるのだろうか。いったい製作費はいくらかかるだろうか。いくらで売ることができるのか。採算は取れるのか。わたしたちは、このとき、こういうことを全く考えていませんでした。

わたしたちは、ついに完成したモックアップを、出雲にある日本一の手帳メーカーに持ち込むことにしました。ここで作れなかったら、どこも作れない。この変わった手帳を作ることができるでしょうか。

ちなみに『M365』をグッドデザイン賞2021にエントリーしました。「俯瞰的な視点でのスケジュールの把握に優れた一覧性の高い7曜日×4週のカレンダー欄と1日毎の細かなメモ欄。本来なら同居させにくい2種類の月間表示を本文の長さに段差をつくる製本によって、一見開きに綴じた手帳。俯瞰する視点と細部を把握する視点の両方が同時にストレスなく見られるアイデアを評価した。」とコメントいただき、グッドデザイン賞を受賞することができました。

中島正雄