[飯箸泰宏先生の、M9notesと知能のいい話] 第2話:知能学からM9notesへ

一般社団法人協創型情報空間研究所
事務局長 飯箸泰宏

私の血気盛んな30歳代は、人工知能の第二次ブームのころでした。ミンスキー(Marvin Minsky, 1927年8月9日 - 2016年1月24日)に触発されて人工知能の作成に取り組み、一瞬だけ世界トップに立った経験があります。

今は、人工知能の第三次ブームの最中ですが、行く先は、いつの時代でも同じですが、不透明だとも言えます。実は、あたかも人工知能の国内リーダであるかのようにふるまっている人たちには、ひそかに危ういところを感じています。彼らは、それなりにコンピュータ科学や数学はやってきたかもしれませんが、人の知能についての洞察があまりにも弱いのです。

言うまでもなく、人工知能とは生身のヒトの知能をより良くより強く人工的に再現するものですが、彼らの多くはヒトの知能を知らないばかりか、ヒトの知能を知ることなど必要がないと‶豪語″する輩さえいるしまつなのです。人の知能をバカにするものは、結局、本人の知恵足りずゆえに、人工知能にすら負けてしまうにちがいありません。

図3.たとえば「人工心臓」は、「人間の心臓」をまねて作られる。Arranged by 飯箸
図3.たとえば「人工心臓」は、「人間の心臓」をまねて作られる。Arranged by 飯箸
図4.「人工知能」は、「人間の知能」をまねて作られる。Arranged by 飯箸
図4.「人工知能」は、「人間の知能」をまねて作られる。Arranged by 飯箸

とはいえ、現在は、ヒトの知能が十分に解明されているのかというとそうとは言えません。たとえば、脳の各部分のいくつかについて解剖学的手法で部分的に詳しく解明することに成功している「脳科学」もヒトの知能の全体像を明らかにするためにはまだまだかなり遠い位置にいるというしかありません。

「心理学」は最近でこそ統計的手法を用いることが盛んになりましたが、もともとは文学的手法によって人の知能や感情の全体像をかなり描くことに成功して来たものです。もともとエビデンスに弱くて、科学的な説得力に欠け、また現象は説明できても機作については想像の域を出ることがないので応用も困難でした。さらには、ヒトの「知」については、古来内省的または対話的に解明して来た伝統的な学問として、「哲学」も忘れてはいけないでしょう。

最近の哲学は個人的“偏見”を新しい発見と誤解して論文が書かれることが多く見受けられて信頼できるものが多くありませんが、ヘーゲルまでの哲学は、多くの場合、人の「知」についてのゆるぎない原理原則を抽出して見せてくれています。

私は、現在の学問の発達段階から見て、ヒトの知能をそれぞれの角度から見てきた脳科学、心理学、哲学という3つの分野を統合して「知能学」という学問分野を創出すべきであると提唱しています。人工知能を前に進める立場からは「知能学なくして人工知能なし」と言いたいのです。いずれ、脳科学が知能学を吸収する時代が来るかもしれませんが、それまでの間は「知能学」で行くべきだと思うのです。

さて、私が現在模索している「知能学」の立場からM9notesを見るとこれがなかなか面白いのです。

石川祐司

いいはしやすひろ

一般社団法人協創型情報空間研究所事務局長

1946年(昭和21)生まれ 。現役のシステム系講師。都立足立高校でビートたけしと同級。東京大学理学部化学科卒。同情報科学科研究生修了。1981年に株式会社サイエンスハウスを起業し、同時に教壇にも立つようになった。以来会社経営では37年、慶応大学、法政大学、明治大学等のシステム系教員としては38年の経歴を持つ。教え子は8000人を超える。精神障がい者の支援ボランティアにも従事してきた。専門は情報科学で、人工知能、移動体制御などでの実績がある。最近は、脳科学、心理学、哲学を束ねる「知能学」の創出を悲願にしている。

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